《エプソンを立ち上げ、発展させた「国際名人*」

元エプソン販売社長、 株式会社イーフォーシーリンク取締役会長 土橋 光廣

「 INK―JET.JPへの期待」
小藤治彦さんがわれわれのプリンター事業部(広丘工場)に移ってきたのは,PC時代の幕開けで,EPSONブランドを設定し,本格的PCプリンターの開発体制の強化の時期であったと思います.まずは,ワイアードットマトリックスのメカプリンターから,プリンターのイノベーションともいえる「インクジェット」の開発へとリーダーとして活躍してもらった印象をもっています.

当時のエプソンは「トータルマーケティング」「自主と自己実現,自己増殖」というキャッチフレーズで,みんなが,目標にむかってアグレッシブに行動する企業文化の遺伝子が生きていました.そうした中では,リーダーとしての役割が大変重要です.現に,テーマの設定から製品化までのプロセス管理とチームワークビルディングで力を発揮し,ワイヤードット,インクジェットの他にも,サーマルプリンターやスキャナー,光磁気メモリ(MO)の商品化の実績をあげ,多くの特許を得ております.

1990年代の半ば,請われて キャノンに移り,新しい方式のインクジェットプリンターの開発をおこなったように聞いています.二つの企業しかも大手コンペティターで,しかも第一線で,陣頭指揮をとったという経験は,他にあまりいないのではないでしょうか.

インクジェットの技術は,プリンターにとどまらず今後はナノテクなどむすびつき,さまざまな分野でいかされ,日本の得意事業を産み出す可能性をもっているのではないでしょうか?

小藤さんのコンサルやアドバイスが,単なる机上の空論でなく,何かをうみだすことを期待しています.E4Cリンクのコンサル事業とも協業できれば幸せです.


(写真)土橋氏

*『エプソン —「挑戦」と「共生」の遺伝子』加藤良平(実業之日本社)に詳しい。
Amazon.co.jp : エプソン —「挑戦」と「共生」の遺伝子

→ 世界初の水晶腕時計を商品化した 元セイコーエプソン株式会社専務取締役 相澤進
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→ キヤノン事務機事業を創業した 元キヤノン株式会社代表取締役副会長 田中宏